クリの花を見たことはありますか?
大抵どこの府民の森でもクリは生えています。見たことがないと思っていても、6月半ばに遠目にクリーム色に見える木があったら、それはクリかもしれません。「遠目にクリーム色」というのは、木を見上げるのではなく、少し離れたり、上から見下ろしての色です。このクリーム色こそが、クリの花です。花一つを見ると、花弁がなく小さくて地味です。それが集まって、ブラシのように葉っぱの上にたくさん突き出していると(尾状花序)、木全体が花に覆われているように見えます。ちなみに、花の匂いは嫌われることが多いようですが、私は学校のプールを思い出して懐かしい気持ちになります。
小さな花がブラシのようにたくさん並んでいるにも関わらず、クリの実が枝一列に並んでいるところを見たことがありません。何故だろうと思い続けていました。
先日、ようやく理由が分かりました。6月に実施された「あじさいウォーク」(毎年恒例 府民の森ぬかた園地あじさい園のアジサイを見に行くハイキング)でのことです。神津嶽ふれあい広場付近で、スタッフが参加者の皆さんに何かを紹介していました。後でそこを見てみると、ちょうどクリの赤ちゃんが間近に見えるポイントでした。柔らかいイガに包まれた小さな実がかわいらしく育っていました。
そこをよくよく観察すると、実より先にある花は茶色く枯れていました。花の軸ごと落ちているものも多かったです。どうして受粉しなかったのか? 先の花は生命力が弱いのか? 疑問は湧く一方でした。
調べてみると、オドロキの構造でした(上の写真の真ん中)。根元が雌花、先はぜんぶ雄花だったのです。受粉後、用済み(?)の雄花は軸ごとぽろっと落ちます。実は、残った軸の根元(基部)になり、しっかり枝に支えられています。実同士は離れてついているので、イガがぶつかって傷付け合うこともありません。うまくできているなと感心しきりです。
木によっての花のつき方・実のなり方を、もっと見たいと思うきっかけになりました。
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