2022年度の活動報告

ニホンアカガエルの産卵調査(2023/2/20~)

2023/3/11

  1. さんさくの池は干上がった状態/東屋側の水滲出部に数10の卵塊

  2. カタクリの森前の湿地に16個の卵塊

  3. 第二キャンプ場の池は半分干上がった状態/浅瀬では孵化が始まっている

2023/3/5

  1. さんさくの池は干上がった状態/東屋側の水滲出部に数10の卵塊

  2. カタクリの森前の湿地に14個の卵塊

  3. 交歓広場の管理道側の水たまりに12個の卵塊

  4. 第二キャンプ場の池に60個の卵塊

2023/2/25

  1. さんさくの池は前日の雨で水位回復(土嚢を追加)--卵塊数変化なし

  2. カタクリの森前の湿地に2個の卵塊

  3. 交歓広場の管理道側の水たまりに2個の卵塊

2023/2/23 

 1. さんさくの池は干上がった状態

 2. 新規産卵:さわわたりの東屋下の池産卵確認

 3. やすらぎの池の浅瀬でも産卵を確認

   4. スイレン池、水舞台の池 -- 産卵確認できず

 2023/2/20

※カメラは水位観察、産卵観察用に

 さんさくの池に移動しました。

  今年もニホンアカガエルが産卵を始めました。昨年とほぼ同時期の産卵です。2/20時点ではさんさくの池に4個、第2キャンプ場の池には20個ほどの卵塊があり、親ガエルの確認もできました。

  残念ながら、さんさくの池では

水位が下がり、そこにイノシシが入り産卵場所が荒らされています。2/20には取り敢えず池の淵に泥を寄せて水の溜まり場を広げました。

             (記:T.T)


 

今期観察できた卵塊数:

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/20 さんさくの池 4 低い(卵塊すれすれ) 
2/23   4  干上がった状態 
2/25  4 前日の雨で水位回復 
3/5  東屋側水滲出部  数10  池は干上がった状態 
3/11 " " "

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/20 第2キャンプ場 20 深い/成体を確認した
2/23   " 水量変化なし 
3/5  60  水量変化なし 
3/11    池半分干上がった状態 

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/23 さわわたりの東屋下 8 満水状態
       
       
       

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/23 やすらぎの池 10数個 満水
       
       
       

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/25 カタクリの森前の湿地山際 2 浅い/弱い流れあり
3/5  14 
3/11  16 
       

確認月/日

場    所 卵塊数 池の水位など
2/25 交歓広場管理道側の水溜まり 2

浅い/湧き水あり

3/5  12 
       
       

くろんど園地の夜の動物たち

くろんど園地の夜に活動する動物たちの動画です。

夜の水辺には、色々な動物たちが水を飲んだり、池に住む生き物(カエルやザリガニなど)を餌として食べにやって来ます。 (2022/9/16 T.T)


 

くろんど園地 カタクリの森

開花・生育状況等の調査・観察レポート(2022)

イノシシ被害から3年かけて開花した個体群
イノシシ被害から3年かけて開花した個体群

 2014/10に植栽された、カタクリの個体群の維持/成長の予見を目的として、2017年春から、カタクリの森全域の開花数と、特定の調査箇所における実生と若い個体の生育状況とを、調べています。

【要約】 

・開花数:昨年から約200増で約970、3年かけて、2017年並みに回復(図1)。イノシシ被害が最も大きいかった区域Bでは、一旦、地上から見えなくなった後、2年で葉が復活し、3年で開花まで回復(図3)。

 -> 寒冷紗の効果など、生育状況は、単年度ではなく、3年程度に渡って見極める必要ある。

・実生と若い個体:山側(南北両側)を中心に開花が多い所に集中(図1)。

 -> 山側(南北両側)には、2018年秋の台風による倒木の処理材が置かれている。倒木が種子散布を行うアリの活動を活発化させて、実生発生に影響を与えているかと思いましたが。5~6月、アリの活動を観察したところ、特に活発な活動は観察できず。

・その他:2021年の冬にイノシシの侵入被害(山側の南側)があり、2018年ほど大規模ではないが、継続して注意必要(図2)。

 

図1 まとめ
図1 まとめ

【本文】

(1)開花の状況

 開花数は、730(2021年)→970(2022年)と約200増、調査を始めた2017年に近い水準まで回復(図1)し、群生の景観が戻ってきました(図2)。

 イノシシ被害が大きいかった区域Bや区域Aの密集地では、元通りとは言えないものの、開花数が回復してきてます。例えば、区域Bの南側の密集地では、一旦、地上から見えなくなった後、2年で葉が復活し、3年で開花まで回復し、開花数は最盛期の6割まで戻りました(図3)。

図2 2022年景観(区域A,区域Bの全景と、今年のイノシシ被害箇所)
図2 2022年景観(区域A,区域Bの全景と、今年のイノシシ被害箇所)
図3 イノシシ被害後の開花復活までの経過(2018~2022)
図3 イノシシ被害後の開花復活までの経過(2018~2022)

 (2)実生、および、若い個体の生育状況について

 実生も若い個体も、山側(南北両側)を中心に開花が多い所に集中しています(図1)。コドラートによる定点観測地点では、いずれも、実生と若い個体が多く(図4)、特に、南側の山側の桜寝返り周辺では、コドラードDだけで、実生が74本と大量に発生しています。

 山側(南北両側とも)には、明らかに、2019年以降、実生と若い個体が増加していて(図5)、2018年秋の台風による倒木の処理材が種子散布を行うアリの活動を活発にし、それが実生発生に影響を与えているかと考えて、結実調査時に倒木周辺でアリの活動を観察しましたが、巣や活発な活動は見られませんでした。

 定点観測していた2018年生の実生は、数が少なくなったり、イノシシの侵入被害を受けたりしていますが、残っている個体は、葉が縦長になり3~4cm位に成長しています(図6)。

(3)結実状況

 全般的に、実は数多く見られました(写真7a)。特定の調査箇所では、結実数/開花数が、コドラートA、Dでそれぞれ、64%と92%でした。これはここ3年間の値よりも高く、良好と考えられます。

 落葉をめくってみると、エライオソームが切り取られた種が見つかりました(写真7b)。アリのしわざですね。

 

(4)個体群の維持/成長の考察

 昨年、今年の、イノシシ被害からの回復と、山側の開花個体増加により、来年は1000を超える開花が期待できるようになりました。この地で生まれた実生や若い個体は順調に育っており、イノシシの被害が少なければ、個体群は維持できるように思います。

 

(5)ノウサギもやってきた

 撮影した写真を見直していると、何カ所かでノウサギのフン(図8)が見つかりました。カタクリの森は笹刈りをしていて、笹刈り後に生えてきた背丈の低い笹は食べやすい高さにあり、周りは背丈の高い笹で囲まれていて逃げこみやすく、ノウサギにとっては食べやすい場所になっているのかもしれません。

図8 ノウサギのフン
図8 ノウサギのフン

おわりに

 

 昨年、今年の回復と、山側の開花個体増加により、来年は1000を超える開花が期待できるようになりました。また、イノシシの被害から3年かけて開花まで回復するという、自然の力を再認識しました。この地で生まれた実生や若い個体は順調に育っていて、あと4~5年すれば、この地で生まれた実生が花を咲かせる日が来るかもしれません。

 

 森林整備のみなさまには、下草刈り、イノシシの忌避対策、寒冷紗設置など、多大の尽力に感謝しています。ただ、今年の冬にイノシシの侵入被害が見られ油断はできません。今年もご協力のほど、よろしくお願い致します。

 

参考文献

河野昭一,植物の世界(草本編上)(ニュートンムック).2001

ゆるやかに入れかわる集団(p.30-33)、種子を優先する栄養配分(p.34-35)

 

補足:調査・観察日

・開花数調査 2022/4/06

・成長状況調査2022/4/06

・結実数調査 2022/5/17 (アリの活動観察 5/24,6/1)

・下草刈り 2021/7/24, 2021/12/20

 忌避剤設置 イノシシ侵入状況により適宜

(2022/6/06 ます,MT)

リンク

くろんど園地

ほしだ園地

むろいけ園地

中部園地

ちはや園地