環境調査部の活動

 環境調査の活動は、大阪府民の森を中心にして身近な自然の生き物の動態を調査し、その結果を自然の保全や保護活動に活かせるようにすることを目的にしています。そして活動を通じて自然の大切さを伝えて行きたいと思います。

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くろんど園地 カタクリの森 開花・生育状況等の調査・観察レポート(2020)

 カタクリの個体群の維持/成長の予見を目的として、2017年春から、カタクリの森全域の開花数と、特定の調査箇所における1年生実生と植付け以降に生まれた若い個体の生育状況とを、調べています。

 

【要約】

・開花数は、1000(2017年)→1300(2018年)→510(2019年)→350(2020年)と変遷し、調査開始後で最も多かった2018年 1300の約1/4になってしまいました(図1)。昨冬のイノシシ対策(補足 参照:下草刈り時期の変更、柵の設置、忌避剤の散布など)により、食害を免れることができましたが、残念ながら群生景観とは言えなくなりつつあります(本文 写真1)。

・昨年開花していた個体が、地表から見えなくなっていたり(本文 写真2)、花をつけない大きな葉の個体になっていたり(本文 写真3)、しています。夏場の高温による休眠期の体力消耗などの原因が考えられます。

・一方、実生は南側を中心に多く観察され、200以上と推定(昨年は110以上)しました。特に、南側の山側の桜の寝返りの周辺は、100を超える実生が見られ、2~4年生の小さな葉の個体も順調に育っています(本文 写真4)。カタクリの生育条件を考えるのに良いヒントとなりそうです。

・実生や若い個体は順調に成長していますが、8年かけて全て開花まで育ったとしても、ここ3年間の実生数は約400しかなく、今年の開花数350を足しても750で、最盛期の開花数1300には及びそうにありません。

・森林公園における植栽の役割りを踏まえつつ、夏場の高温対策など、カタクリ植栽に対してできることを模索したいと思っています。 

図1. 2020年調査結果まとめ
図1. 2020年調査結果まとめ

【本文】

 

はじめに

 今年も昨年と同様に、カタクリの森全域の開花数と、特定の調査箇所における1年生実生と植付け以降に生まれた若い個体の生育状況とを、調べました。コロナ肺炎に伴う外出自粛のため、昆虫による送粉やアリの種子散布については、十分な観察時間がなく、また、結実については調査時期を逸してしまい未調査となりました。

 

(1)開花の状況

・約350でした。1000(2017年)→1300(2018年)→510(2019年)→350(2020年)と変遷し、イノシシによる食害を受けた昨年の510をさらに下回り、調査開始後で最も多かった2018年 1300の約1/4になってしまいました(要約 図1)。昨冬のイノシシ対策(補足参照:下草刈り時期の変更、柵の設置、忌避剤の散布など)により、食害を免れることができましたが、密集して植栽された箇所でも花がまばらになっていて、残念ながら群生景観とは言えなくなりつつあります(写真1)。

・昨年開花していた個体が、地表から見えなくなっていたり(写真2)、花をつけない大きな葉の個体になっていたり(写真3)、しています。2014年10月の植栽からまだ6年目ですので寿命とは考えにくく、夏場の高温による休眠期の体力消耗とか、 昨年のイノシシ食害による損傷影響とかが原因ではないかと考えています。

(2)実生、および、若い個体の生育状況について 

・実生数は南側を中心に多く観察され、200以上と推定(昨年は110以上)しました。

・特に、南側の山側の桜の寝返りの周辺は、100を超える実生が見られました。ここでは、2~4年生の小さな葉の個体も順調に育っていて、開花数も昨年を上回っています。カタクリの生育条件を考えるのに良いヒントとなりそうです(写真4)。

・一方、北側の山側の付近は、2~4年生の小さな葉の個体が40以上と数多く見られましたが、実生がほとんど見られません。昨年の開花数は29で結実個体が11あったのに、不思議です(写真5)。

・2018年に発見した、アリ散布と思われる、特定箇所に集中的に芽生えた実生も3年生の個体に成長しています(写真6)。

(3)結実状況

・今年は、コロナ肺炎に伴う外出自粛のため観察できませんでした。

・開花数は1/4に減少しており、さらに、花の数の減少に伴う送粉昆虫の訪花減少影響も考えられ、種の数は昨年に比べてかなり少なくなっていると予想されます。

 

(4)個体群の維持/成長の考察

・実生や若い個体は順調に成長していますが、8年かけて全て開花まで育ったとしても、ここ3年間の実生数は約400しかなく、今年の開花数350を足しても750で、最盛期の開花数1300には及びそうにありません。昨年開花していた個体で、今年地表から見えなくなっている個体が、来年復活するとは考えにくく、植栽時の個体群の維持にも、赤信号が灯っていると考えられます。

 

おわりに

 個体群の維持成長の目的で観察を始めたので、植栽に手を入れることは考えてこなかったのですが、調査中に来訪者から”少なくなったね”とか”小さいね”とかの声を聴くとやはりさびしい気分になります。森林公園における植栽の役割りを踏まえつつ、夏場の高温対策など、カタクリ植栽に対してできることを模索したいと思っています。 

 

補足:調査・観察日

・観察日 3/9,25 4/3 6/1

・開花数調査 2020/4/03

・実生数調査 2020/4/03

・成長状況調査2020/4/03

・結実数調査 未実施

・下草刈り・忌避剤設置 2019/12/14

 森林整備チームのみなさんには、下草刈りに加えて、柵の設置や忌避剤の散布により(写真7)、イノシシ食害を免れることができ感謝しています。

 

(2020/6/3 ます)

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