2020年度の活動報告

大阪府民の森 北部地区 ヤマトサンショウオの報告

1.発見日時 :2021年3月13日(土)10:40

2.発見場所 :大阪府民の森 北部地区

3.発見時状態:腹を上にした状態、すでに死個体であったが、まだ新しい様子なので、写真等を記録の上保存のために持ち帰る(下記 写真参照)

4.形態

 体長 :95mm 尾が少し切れている(何かに食われたような状態)

 体重 :未測定

 特記 :頭部疵アリ、前右指欠損アリ

5.雌雄 :現在不明

6.種の同定と保存について

 活動の帰りにスーパーで氷を確保して持ち帰り、計測後自宅の冷蔵庫に保存。大阪市自然史博物館に連絡を取り、翌日確認をお願いする。詳しくは調べてみないと判らないが、ヤマトサンショウウオ(下記の補足解説参照)であろうとのこと。

 個人的な保存は無理がある事、すぐにでもホルマリン処理しないと劣化する事などから、個体は寄贈する事にした。

 大阪市自然史博物館では、府民の森 北部地区の園地での個体標本としては初めてである。詳しく同定等がすんだら、教えて頂く事予定。

【補足解説】

*1 ヤマトサンショウウオ(Hynobius vandenburghi Dunn)の分類

 サンショウウオ:脊椎動物 両生類 有尾目サンショウウオ科 サンショウウオ属 ヤマトサンショウウオ(旧カスミサンショウウオ)(種)

小型サンショウウオ類であるHynobius属のサンショウウオは世界に約50種が報告され、約30種が日本の固有種とされています。

 今まで「カスミサンショウウオ」で分類されていた種が、2019年2月1日の論文により9種類に分類されました(参考文献1)。今回確認できたサンショウウオは、大阪以西の近畿中部から伊勢湾に面する三重・愛知で生息するヤマトサンショウウオになります。

 

*2 ヤマトサンショウウオの生態

生活史:産卵-孵化-7月頃に上陸-越夏-成体は秋にも活動-越冬ー早春交尾・産卵、 3年で成熟し寿命は7~8年。

食性 :昆虫、クモ、ワラジムシ、ミミズ、幼生は水生昆虫、ミジンコ、イトミミズ、共食いもあり。

捕食者:ほぼ同じ体長のトウキョウサンショウウオが、特定外来生物のアライグマにより成体が捕食されたり、外来生物のアメリカザリガニにより卵のうが食い破られたり、幼生が捕食されたりする報告があります(参考文献2)。

アライグマもアメリカザリガニも園地内で発見されており、被害が懸念されます。

 

*3 ヤマトサンショウウオの保全状況(参考文献3)

レッドリストカテゴリー

・環境省 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 絶滅の危険が増大している種

・大阪府 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) 絶滅の危機に瀕している種(絶滅危惧種)

【参考文献】

1)カスミサンショウウオの分類に関するもの

・日本産爬虫両生類標準和名リスト 日本爬虫両棲類学会 

 http://herpetology.jp/wamei/index_j.php

・カスミサンショウウオの分類論文(英文)

https://bioone.org/journals/Current-Herpetology/volume-38/issue-1/hsj.38.32/Systematics-of-the-Widely-Distributed-Japanese-Clouded-Salamander-iHynobius-nebulosus/10.5358/hsj.38.32.full

・同論文の概要

 https://oikawamaru.hatenablog.com/entry/2019/03/10/220850

 

2)サンショウウオの保全と食害に関するもの

サンショウウオ生息地の危機と保全活動 サンショウウオ入門【後編】

 https://buna.info/article/3734/

 

3)保全状況に関するもの

・日本のレッドデータ検索システム 

 http://jpnrdb.com/

・環境省レッドリスト 2020 補遺資料 

 https://www.env.go.jp/press/files/jp/113629.pdf

・大阪府レッドリスト http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/21490/00148206/4.hachuruiryou

・大阪府両生類分布図 

 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/wada/Amphibian/map-amph.html

 

 

K.S(2021/4/5)

くろんど園地 アカガエルの産卵調査

2021/2/20(土) さんさくの池、第2キャンプ場の池、やすらぎの池

 2/15(月)の雨の後、たくさんの産卵が確認されました。

以下各池の産卵状況です。 

1. さんさくの池

2. 第2キャンプ場の池

3. やすらぎの池

2021/2/7(日) さんさくの池、第2キャンプ場の池、スイレン池で卵塊調査

くろんど園地の以下3か所でアカガエルの産卵状況を調査しました。


  1. 第2キャンプ場の池:卵塊確認できず

  2. スイレン池 :卵塊確認できず

  3. さんさくの池:下表の通り

2021/2/5(金) さんさくの池で卵塊確認

アカガエルの卵塊
アカガエルの卵塊

 今年もアカガエルが産卵する季節がきました。 

 さんさくの池は昨年の水漏れ対策後、満水で透明度も高い状態になっています。池は日陰になっているところは凍っていましたが、あずまやに近い側は日向になって氷が解けており、そこに3つの卵塊が確認できました。

卵塊には澱(おり)が付着していて数日は経っていると思われますので、2月の初めには産卵したものと推測されます。これから日を追って産卵数が増えてくると思います。園地に行かれた際には産卵数を確認をお願いします。

 

  尚八つ橋のミズバショウの芽が大分伸びてきました。管理道沿いに植えたミズバショウもちらほらと幼芽が確認できました。(2021/2/5 T.T.)

くろんど園地 カタクリの森

夏場の地温上昇緩和策 試行結果報告

【要約】

 2020年春の調査で、開花数の減少と共に、2019年に開花していた個体が花をつけない大きな葉の個体になっている様子が観察されていたことをうけて、夏場の高温による休眠期の体力消耗が、開花数減少の原因の1つではないかと考えました。

 そこで、開花数の減少抑制のために、寒冷紗を設置し、夏場の地温上昇緩和を試みてみました。

 結果、寒冷紗設置により、地中5cmで地温上昇緩和が確認できました。

特に、寒冷紗を地面から離して設置することで、最も暑かった時期(8/16-8/26)では、最高気温で7.8℃、平均気温で2.4℃も地温上昇を緩和することができました。来春の開花数がどのように変化するかを見極めて、来年度以降に、寒冷紗設置継続や追加の対策について検討したいと考えています。

【背景】

 2020年春の調査で、カタクリの開花数が510から350へと減少し、2019年に開花していた個体が、地表から見えなくなったり、花をつけない大きな葉の個体になっている様子が観察されていました(*1)。

 2014年10月にカタクリの球根が植えられてから、本来の生息地より高温の環境下で6年経過しており、夏場の高温による休眠期の体力消耗が、開花数減少の原因の1つではないかと考えました。

【目的】

 開花数の減少抑制のために、夏場の地温上昇緩和を試みてみました。

【方法】

 寒冷紗を敷設し、夏場の直射日光を遮光し、地温上昇の緩和を図りました。

・設置箇所:カタクリの開花数が多かった所2か所と、昨年の開花個体が花をつけない大きな葉の個体になっていた所の3か所に寒冷紗を設置しました。(図1)

・寒冷紗の遮光仕様:黒色の寒冷紗で、遮光率を測定していませんが、設置時の地面への陽光の届き具合から、遮光率は70%程度ではないかと推定しています。(図2)

・設置方法:最初は寒冷紗を地面に貼り付け、途中から寒冷紗を地面から10~30cm離して、風通しを良くしました。(図2 *2)

・設置期間:2020.7.20~2020.10.19(うち、8.15までは地面に貼り付け、8.15からは地面から10~30cm離して設置)

・評価方法:寒冷紗設置箇所と非設置箇所(寒冷紗から50cm程度離れた所)の2か所に、地面から5cmの地中に温度ロガー(Elitech社製 RC-51H)を埋め込み、温度変化を測定しました。(図2)

【試行結果】

・寒冷紗設置により、地中5cmで地温上昇緩和が確認できました。

最も暑かった時期(8/16-8/26)では、最高気温で7.8℃、平均気温で2.4℃も上昇緩和できました。(*3  カタクリの開花個体の鱗茎は地中20cmあたりにあるらしく、地中5cmより最高気温が1~3℃程度低く、上昇緩和の効果は少なく見積もる必要があります。また、また1か月程度遅れて変化するので、測定には注意が必要です。)

 

- 地面に貼り付けた場合、地中5cmでの上昇緩和

晴れた日(8/4-6):最高気温で1.8℃、平均で0.5℃(図3)

雨の日(7/24-26):最高気温で0.7℃、平均で0.3℃ 

- 地面から10~30cm離して設置した場合、地中5cmでの上昇緩和(図4)

盛夏11日間(8/16-8/26):最高気温で7.8℃、平均で2.4℃

期間全体(8/16-10/19):平均で1.2℃ 

 

・寒冷紗を地面から離して設置することで、上昇緩和効果がより大きくなりました。寒冷紗外の温度が近い日で比較すると、緩和効果が2倍程度大きいと考えられます。(図5)

 

【今後の取り組み】

・寒冷紗設置により、地温上昇緩和に効果があることを確認できたので、来春の開花数がどのように変化するかを見極めて、来年度以降に、寒冷紗設置継続や追加の対策について検討したいと考えています。

 

 寒冷紗設置方法の提案、並びに、設置作業にご協力頂いた、森林整備部のみなさまにこの場を借りて感謝の意を表します。

 

(参考)

*1) くろんど園地 カタクリの森 開花・生育状況等の調査・観察レポート(2020)

*2) 設置作業の様子は、2020年の森林整備部の活動、7/20と8/15を参照下さい。

*3) 自然教育園内における深度別地温の変動

村田智吉 ほか,自然教育園報告(Rept. Inst. Nat. Stu. )

第43号:1-10,2012.

(2021/1/10 ます)

くろんど園地 カタクリの森

開花・生育状況等の調査・観察レポート(2020)

 カタクリの個体群の維持/成長の予見を目的として、2017年春から、カタクリの森全域の開花数と、特定の調査箇所における1年生実生と植付け以降に生まれた若い個体の生育状況とを、調べています。

 

【要約】

・開花数は、1000(2017年)→1300(2018年)→510(2019年)→350(2020年)と変遷し、調査開始後で最も多かった2018年 1300の約1/4になってしまいました(図1)。昨冬のイノシシ対策(補足 参照:下草刈り時期の変更、柵の設置、忌避剤の散布など)により、食害を免れることができましたが、残念ながら群生景観とは言えなくなりつつあります(本文 写真1)。

・昨年開花していた個体が、地表から見えなくなっていたり(本文 写真2)、花をつけない大きな葉の個体になっていたり(本文 写真3)、しています。夏場の高温による休眠期の体力消耗などの原因が考えられます。

・一方、実生は南側を中心に多く観察され、200以上と推定(昨年は110以上)しました。特に、南側の山側の桜の寝返りの周辺は、100を超える実生が見られ、2~4年生の小さな葉の個体も順調に育っています(本文 写真4)。カタクリの生育条件を考えるのに良いヒントとなりそうです。

・実生や若い個体は順調に成長していますが、8年かけて全て開花まで育ったとしても、ここ3年間の実生数は約400しかなく、今年の開花数350を足しても750で、最盛期の開花数1300には及びそうにありません。

・森林公園における植栽の役割りを踏まえつつ、夏場の高温対策など、カタクリ植栽に対してできることを模索したいと思っています。 

図1. 2020年調査結果まとめ
図1. 2020年調査結果まとめ

 

【本文】

 

はじめに

 今年も昨年と同様に、カタクリの森全域の開花数と、特定の調査箇所における1年生実生と植付け以降に生まれた若い個体の生育状況とを、調べました。コロナ肺炎に伴う外出自粛のため、昆虫による送粉やアリの種子散布については、十分な観察時間がなく、また、結実については調査時期を逸してしまい未調査となりました。

 

(1)開花の状況

・約350でした。1000(2017年)→1300(2018年)→510(2019年)→350(2020年)と変遷し、イノシシによる食害を受けた昨年の510をさらに下回り、調査開始後で最も多かった2018年 1300の約1/4になってしまいました(要約 図1)。昨冬のイノシシ対策(補足参照:下草刈り時期の変更、柵の設置、忌避剤の散布など)により、食害を免れることができましたが、密集して植栽された箇所でも花がまばらになっていて、残念ながら群生景観とは言えなくなりつつあります(写真1)。

・昨年開花していた個体が、地表から見えなくなっていたり(写真2)、花をつけない大きな葉の個体になっていたり(写真3)、しています。2014年10月の植栽からまだ6年目ですので寿命とは考えにくく、夏場の高温による休眠期の体力消耗とか、 昨年のイノシシ食害による損傷影響とかが原因ではないかと考えています。

(2)実生、および、若い個体の生育状況について 

・実生数は南側を中心に多く観察され、200以上と推定(昨年は110以上)しました。

・特に、南側の山側の桜の寝返りの周辺は、100を超える実生が見られました。ここでは、2~4年生の小さな葉の個体も順調に育っていて、開花数も昨年を上回っています。カタクリの生育条件を考えるのに良いヒントとなりそうです(写真4)。

・一方、北側の山側の付近は、2~4年生の小さな葉の個体が40以上と数多く見られましたが、実生がほとんど見られません。昨年の開花数は29で結実個体が11あったのに、不思議です(写真5)。

・2018年に発見した、アリ散布と思われる、特定箇所に集中的に芽生えた実生も3年生の個体に成長しています(写真6)。

(3)結実状況

・今年は、コロナ肺炎に伴う外出自粛のため観察できませんでした。

・開花数は1/4に減少しており、さらに、花の数の減少に伴う送粉昆虫の訪花減少影響も考えられ、種の数は昨年に比べてかなり少なくなっていると予想されます。

 

(4)個体群の維持/成長の考察

・実生や若い個体は順調に成長していますが、8年かけて全て開花まで育ったとしても、ここ3年間の実生数は約400しかなく、今年の開花数350を足しても750で、最盛期の開花数1300には及びそうにありません。昨年開花していた個体で、今年地表から見えなくなっている個体が、来年復活するとは考えにくく、植栽時の個体群の維持にも、赤信号が灯っていると考えられます。

 

おわりに

 個体群の維持成長の目的で観察を始めたので、植栽に手を入れることは考えてこなかったのですが、調査中に来訪者から”少なくなったね”とか”小さいね”とかの声を聴くとやはりさびしい気分になります。森林公園における植栽の役割りを踏まえつつ、夏場の高温対策など、カタクリ植栽に対してできることを模索したいと思っています。 

 

補足:調査・観察日

・観察日 3/9,25 4/3 6/1

・開花数調査 2020/4/03

・実生数調査 2020/4/03

・成長状況調査2020/4/03

・結実数調査 未実施

・下草刈り・忌避剤設置 2019/12/14

 森林整備チームのみなさんには、下草刈りに加えて、柵の設置や忌避剤の散布により(写真7)、イノシシ食害を免れることができ感謝しています。

 

(2020/6/3 ます)

リンク

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