先月の森林整備の帰り際に、「これをご存じですか?」と、葉の付いたドングリを紹介されました。それはハイイロチョッキリという虫がドングリに産卵を終え、数時間かけて枝を切り地面に落としたものでした。よくご存じの方も多いと思いますが、少し調べてみました。
ハイイロチョッキリは、甲虫目オトシブミ科チョッキリゾウムシ亜科に属する昆虫です。数時間かけて枝を落とすというのは、理由があるようで、植物は虫にかじられたりしてダメージを受けると、特別に分泌される物質があり、この物質は虫にとって毒性があったり、この虫の天敵を呼ぶ物質であったりするようです。このため、ハイイロチョッキリは、植物からの対抗策から逃れるため、時間をかけて産卵したドングリを落とすようです。
また、産卵したドングリを切り落とさない虫の種類もいるようですが、これらは、ゾウムシ科ゾウムシ亜科に分類されます。
話が変わりますが、オトシブミ科オトシブミ亜科の虫があります。この虫は、葉をくるくる丸めて卵のゆりかごを作る虫です。葉が巻かれる様子を「揺籃」と呼びますが、オトシブミ亜科の中で、「揺籃」の形が違うもの、落下するもの、落下しないものとあるようです。(落下したものを「落とし文」と呼んだのでしょうか。)
森の中で、沢山のドングリができるわけですが、その中で、発芽して成木になるのは、2%前後と言われ、残りの90%強のドングリは、昆虫、動物の食料になるものもあります。当然ですが、環境が適当でなく発芽しないものもあると思います。
このように、ドングリと昆虫・動物の間の共生関係を見てみると、ドングリは、森の生態系を維持しているものの一つと考えらえます。クラフトのイベントでは、よくドングリが登場しますが、自然を代表するシンボルの一つと言えるかもしれません。
【参考動画】
ハイイロチョッキリの産卵と枝を切る動画(1分と少し)があったので
添付します。ー>こちら
(MS 2023/10/14)
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