No.118  ビロウドツリアブ(Large bee-fly)

       写真1
       写真1

 早春の頃、くろんど園地を散策していると日当たりの良い道端を忙しく飛ぶ、ビロウドツリアブに会えます。もふもふの体でまだ昆虫たちも目覚めていない早春に現れる彼らは私のお気に入りの昆虫の一つです。丸っこい体に、茶色の毛がたくさんはえた姿はとても愛らしく見えませんか

(写真1)

写真2 ホバリング中のビロウドツリアブ
写真2 ホバリング中のビロウドツリアブ

 ビロウドツリアブはハエ目(双翅目)ツリアブ科の昆虫で、尖った長い口吻(こうふん)で花の蜜を吸っています。名前のツリアブは、ホバリングして止まっているその姿が、まるで糸につられているようだというのが由来のようです(写真2)。写真なので止まっていますが(笑)、羽だけが動いてぶれているので、飛んでいる(ホバリング中)ことがわかると思います。実際はホバリングしたり、突然早く飛んだりして、とても器用な虫です。英語名はハチ(Bee)のようなハエ(Fly)です。皆さんはどう見えるでしょうか。ビロウドツリアブは、土中に巣を作るヒメハナバチの仲間の巣の近くに卵を産むそうです。卵からかえった幼虫はヒメハナバチの巣の中のえさ(花粉など)やヒメハナバチの幼虫を食べているとのことです。機会があれば、ぜひ観察したいと思います。

   写真3 吸蜜中のビロウドツリアブ
   写真3 吸蜜中のビロウドツリアブ

 ところで、ハエとハチは姿も名前も(笑)よく似ていますが、全く別の昆虫です。ハエ(アブ)の仲間は羽が2枚(後羽が退化)ですが、ハチの仲間は羽は4枚そろっています。羽を広げて止まっていることがないので、見分けるのは難しいですが、機会があればよく観察してみてください(ハチの場合はくれぐれも刺されないように注意してくださいネ)。こんな違いがわかるようになると、あなたも昆虫博士です。
 ビロウドツリアブは全国に分布し、平地から高山、都会でも見ることができるようです。春限定の虫なので園地内で出会ったら、その癒されるスタイルを堪能してみてください。くろんど園地では3月から5月にかけて見ることができますが、1cmくらいの小さな虫なのでくれぐれも見逃さないように。
 ※見られなかったという方はぜひ日本パークレンジャー協会のネイチャーガイドに参加してみてください。(2024/1/8 大西)

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