No.149 モリアオガエル

 

 モリアオガエルは樹の上に卵を産み付ける珍しいカエルです。くろんど園地では、毎年5/末~6/末に池の上に張り出した樹の枝に写真1のような卵塊(泡巣)が20個以上も見られるようになります。

写真1 モリアオガエルの卵塊(泡巣)
写真1 モリアオガエルの卵塊(泡巣)
写真2 モリアオガエル
写真2 モリアオガエル

 モリアオガエルは写真2のような姿をしています。アマガエルに似ていますが♂が40~60mm、♀は60~80mmほどの大きさです。

特徴は、目の色が赤く、皮膚は荒っぽくて斑紋を持つものもいます。

モリアオガエルは日本の固有種ですが、生駒山系には元々いなかったとされていますので、園地で見られるものは近年ペットとして飼われていたものが山に放逐されて繁殖している可能性があります。 

 

モリアオガエルに似たシュレーゲルアオガエル(※)

写真3 シュレーゲルアオガエル
写真3 シュレーゲルアオガエル

 園地にはモリアオガエルによく似たシュレーゲルアオガエル(写真3)もいます。モリアオガエルより小さく、♂は30~40mm、♀は40~50mmほど。目は金色で、体に斑紋はなくツルっとした感じです。両方のカエルとも泡巣を作って卵を産みますが、シュレーゲルアオガエルは樹上には産卵せず、土の中や水辺の背の低い草の間に産みます。

 

 

※シュレーゲルアオガエルも日本の固有種ですが、発見者のオランダ人の

   ヘルマン・シュレーゲルという人の名に因んでこの名がつきました。

 

モリアオガエルの産卵行動と泡巣

 モリアオガエルの産卵は樹上で行われます。写真4は木の葉が繁った枝上で♀の上に♂が乗り産卵をしているところです。写真では♂と♀一匹ずつしか見えませんが、♀一匹に対して数匹の♂が集まって産卵することがあります。

♀は体液を出しながら産卵すると同時に♂が精子を出し、その体液を集まった♂と♀が足でかき回して写真5のような泡の塊を作ります。

 泡の塊は10~15cmにもなりますが、時間が経つと表面は乾燥して紙のように硬くなり、泡の中では受精した卵が成長し孵化するまで守られます。

写真4 モリアオガエルの産卵
写真4 モリアオガエルの産卵
写真5 泡巣
写真5 泡巣

写真6 泡巣の位地は水面の上
写真6 泡巣の位地は水面の上

 泡巣を作る場所は樹の枝の葉がついたところで、枯れた枝には産まないようです。これは泡巣が容易に落ちないよう木の葉を利用してしっかり固定させ、外敵から卵を守るためだと思われます。又泡巣の位置は写真6のように必ず下が水面になっている場所で、高さは水面から数mの位置に産んでいることもあります。

 

 卵は泡巣の中で成長し孵化しますが、孵化したばかりのオタマジャクシはお腹の中に卵黄があってしばらくそれで育ちます。後は泡巣を餌にして成長し、雨が降るのを待って泡巣を溶かして下の池に落ちて行きます。

 

モリアオガエルのオタマジャクシ

 

 写真7は7月上旬に池を泳ぐモリアオガエルのオタマジャクシです。無数にいますが、全部のオタマジャクシがカエルになる訳ではありません。池の中にはヤゴ・イモリ・アメリカザリガニなどがおり、殆んどは彼らの餌となって食べられて写真8のような幼体となって上陸するカエルはごく少数です。

写真7 モリアオガエルのオタマジャクシ
写真7 モリアオガエルのオタマジャクシ
写真8 モリアオガエルの幼体
写真8 モリアオガエルの幼体

 

モリアオガエルの役立ち

 

 モリアオガエルの成体はクモやハエ、小昆虫、ミミズなどを食べますが、カエルは森に住む色々な生きものの命をを支えています。前述のようにオタマジャクシは池に住む生きものの餌となり、又無事上陸してもヘビやフクロウ、タヌキなどに食べられます。無数のオタマジャクシは生態系の底辺を支えている大切な生きものとなっているのです。

 

 近年モリアオガエルの泡巣にも人に役立つものがあるとして研究が進んでいるようです。新聞に次のような記事がありましたのでご覧ください。

参考資料:Wikipedia, 写真と観察Parkranger(M.Y、T.T) 

2025/5/8 (記T.T)

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