No.154 赤トンボ

 くろんど園地でも秋になるとお腹の赤いトンボが見られるようになります。いわゆるアカトンボですが、実はアカトンボという種はなく、赤いトンボの総称であることをご存じでしょうか。有名な赤トンボとしてはナツアカネやアキアカネなどになります。今回はくろんど園地で見られる赤トンボの世界について紹介します。

アキアカネ(オス)
写真1 アキアカネ(オス)

 トンボ目トンボ科のアカネ属というトンボの仲間が一般的に赤トンボと呼ばれています。一般的にとはアカネ属でも赤くない例外的なトンボも含まれているためです。お腹が赤くなるのは成熟したオスで、赤トンボは秋に多いイメージですが、夏は山頂付近にいたり、赤くなかったりするので目立たないだけです。

 

 写真1はアキアカネです。胸の模様で見分けるようですが、捕まえないとわかりにくいので、胸まで赤くなっているのがナツアカネで、胸が赤くないのはアキアカネと見分けるようにしています。

  写真2はマユタテアカネと呼ばれる赤トンボです。名前の由来は顔に黒い大きな斑点が2つあり、眉(マユ)のように見えるということです。

 写真3はコノシメトンボです。翅の先端が褐色で顔まで赤くなるのが特徴です。私が見つけた赤トンボは上記3種類ですが、皆さんも園地で探してみてください。 

マユタテアカネ(オス)
写真2 マユタテアカネ(オス)
コノシメトンボ(オス)
写真3 コノシメトンボ(オス)

  赤トンボの仲間はくろんど園地でも9月、10月頃によく見ることができます。赤トンボは小型で北方系のトンボのため、寒さに強く晩秋まで見ることができます。秋も終わりの子供のときにブランコに乗っていると、1匹だけ赤トンボが飛んでいて、今年最後の1匹だと思うとすごく哀愁を感じたことを思い出します。田んぼの上などを赤トンボの集団が飛んでいる光景は次の世代にもぜひ残しておきたいですね。ただし、地球温暖化が今後も続くと将来、赤トンボが見られなくなるかもしれません。南方系の昆虫は増えるかもしれませんが、悩ましい問題ですね。

(2025/10/3 大西)

アキアカネの交尾
写真4 アキアカネの交尾

【国内レッドリスト情報】

アキアカネ:鹿児島県で絶滅危惧Ⅰ類に、山口県、徳島県、香川県、佐賀県、

      長崎県で絶滅危惧Ⅱ類に指定

マユタテアカネ:佐賀県で絶滅危惧Ⅱ類に指定

コノシメトンボ:宮城県、秋田県、山形県で絶滅危惧I類に、青森県、香川県

        で絶滅危惧II類に指定

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