No.5  陸生ホタル

採取したホタルの幼虫     
採取したホタルの幼虫     

 ホタルと聞いてまず思い浮かべるのは、美しい光を放つゲンジボタルとヘイケボタルの2種類でしょう。しかし、日本をはじめ、世界には多くのホタルがおり、世界のホタルの種類は2,000種以上、そのうち日本のホタルの種類はおよそ50種と言われています。

 日本のホタルは、ほとんどが陸生ホタルで、一生を通じて陸地で生活します。幼虫が水中で過ごす水生ホタルは、ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタルの3種類のみで、半水生はスジグロボタルの1種です。水生ホタルは世界的にも珍しく数種類しか確認されていないそうです。
 また、成虫になるとほとんど発光しないものも多くいます。

 ちはや園地では毎年ナイトハイクを実施していますが、その中で陸生ホタルの観察をしています。これまでちはや園地に生息するホタルはヒメボタルであると言われていたので、ちはやチームでもヒメボタルと紹介していましたが、発光の様子がどうもヒメボタルらしくないということで、この度実際に採取して調べてみました。そうすると光っていたのはナンと!写真の幼虫だったのです。そうです、ホタルは成虫のみならず、幼虫、蛹、そして卵も光るのです。実際に光る幼虫を見てそれを実感しました。
 次はその幼虫が何というホタルの幼虫なのかということですが、本やインターネットで調べてみると、どうもヒメボタルではないような感じですがはっきりしません。そこで日本産の陸生ホタルの研究をしている「陸生ホタル生態研究会」に問い合わせてみたところ、オオマドボタルかクロマドボタルであるとの回答をいただきました。しかし、このどちらのホタルなのかは、幼虫では区別がつかず採取した幼虫を孵化させて判断するしかないそうです。
 ちはや園地にはこの二つのホタルが混生していることも考えられますし、またヒメボタルなどその他のホタルも生息しているかもしれません。今後さらに調査が必要ですね。(ogi2013.Sep)  

陸生ホタル2

ヒメボタル
採取したヒメボタル    

7月12日、ちはや園地で実施するナイトハイクの下見の際に、いつものホタル観察エリアでホタルの成虫を捕獲。早速室内に持ち帰って詳しく観察。

体長は1cm弱。頭の下の部分に赤い斑紋、ストロボのような短い点滅。
おぉ~っ!これはヒメボタルではないのか?

翌朝ミュージアムで職員さんに調べてもらいましたが、やはりヒメボタルのような感じ。

念のため陸生ホタル生態研究会に写真を送って、見てもらったところほぼ100%ヒメボタルでしょうという回答をいただきました。

これでナイトハイクで自信を持ってヒメボタルの話ができます。

また、昨年は幼虫を確保し同様に確認してもらったところマドボタル属であるとのことでしたので、この場所にはヒメボタルとマドボタルの両方が生息していることになります。

 

ヒメボタル2
クロマドボタルの蛹     

来週の本番ではさらにマドボタルを探してみたいと思います。
本番が楽しみです。

陸生ホタル生態研究会から、マドボタルの蛹の写真を送ってもらいましたので添付します。
(ogi 2014.july)

陸生ホタル3

ヒメボタル
ヒメボタルの発光     

7/26のナイトハイク本番でホタル観察をしました。今年はヒメボタルが多数観察でき、これまでで一番多かったような気がします。

いくつか採取して観察しましたが、外観や発光の間隔など、間違いなくヒメボタルでした。

また、マドボタルの幼虫も同時に採取し、陸生ホタル生態研究会からいただいたアドバイス(下記参照)を参考に、翌朝マドボタルの成虫を探してみました。

ヒメボタル
採取したヒメボタル     

(陸生ホタル生態研究会からの

            アドバイス)
  マドボタル属の♂成虫は、見つけるには早朝がいいです。
日の出と共に地表から出て10cm~30cm位の高さの草木の葉の上に触角をたてて 静止しています。しかし、午前6時頃 になると♀を求めて低空で短い距離を飛翔し始めます。

黒い羽で、カブトムシと同じようなスタイルでゆっくりと飛びますので見つかりますが、ただ、単位面積あたりの発生数は大変少ないです。
午前9時頃を過ぎると婚活が終了しますので、目に付く個体数が激減し見つけるのが難しくなります。

マドボタル
採取したマドボタル属の幼虫   

日の出前から約1時間半ほど探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。

前日採取した幼虫の写真を送って再度確認してもらったところ、下記のような回答をいただきました。

 

(陸生ホタル生態研究会からの回答)
  お送り頂いた幼虫の記録は、マドボタル属ですね、オオマドかクロマドかは現在の所幼虫では区別出来ません。

それから、体長が判りませんが、15mm以上のものでしたら、昨年孵化してこの時期成熟しているのに、羽化をパスして来年以降に羽化する個体ですね。

10mm以下でしたら、昨年産卵された卵で、昨年秋までの孵化を見送り、卵のまま越冬し、今年の5月か6月のはじめに孵化した個体だと想います。

ということで、越年する幼虫や卵もあるようです。

先日、鳥取県の大山でヒメボタルが見つかったという記事が出ていましたが、陸生ホタルの生息地の最高地がどこになるのかについては、調査記録が無いようです。

 

参考までに、ホタル関係のサイトをご紹介します。ホタルの分類表なども載っています。興味のある方はご覧ください。

 

学研ホタルネット

NPOホタルの会

東京にそだつホタル 


(ogi 2014.july)

リンク

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