くろんど園地林道沿いの木の葉*の表や裏に丸い大きさ8mmくらいの小さな虫を見ることがあります。一見、変な虫ですが、イチモンジカメノコハムシです。今回は姿、形が少し変わっているイチモンジカメノコハムシについて紹介したいと思います。
コウチュウ目ハムシ科の仲間で、カメノコハムシやジンガサハムシという名前のハムシは丸くて平べったい形態をしています。まるでUFOのようですね(写真1)。イチモンジカメノコハムシの体は透明で透けて見えますが、黒っぽい体の後ろの方が横一文字になっているのが特徴です(写真2)。これが名前の由来にもなっています。日本には似たような別のヨツモンカメノコハムシ**などもいますがくろんど園地では見たことがないので間違うことはないと思います。ちなみに、この姿ですが飛ぶことができるようです。残念ながら私はまだ飛ぶところを見たことがありません。機会があったら飛ばしてみたいです。
ハムシ(葉虫; 英語名はLeaf beetle)は名前の通り、種類毎に異なる植物の葉を食べています。イチモンジカメノコハムシは成虫も幼虫も同じムラサキシキブやヤブムラサキを食草とするようです。食べ方は写真のように葉の周囲からではなく、葉に穴を開けるように、真ん中から食べていきます(写真2)。穴の開いた葉*を見つけたらめくってみてください。イチモンジカメノコハムシがいるかもしれません。
幼虫は黄緑色で上からでは頭や脚が見えにくく、背中に脱皮殻や糞を着けているので一見すると虫に見えません(写真3)。背負っているように見えますが、実際は尾の先に着けた脱皮殻をかぶっている状態なので開くこともできます1)。糞に化けて捕食されないようにする擬態の一種と思われます。誰から教わったのでしょうか、自然は不思議ですね。成虫に棘はありませんが、幼虫の体は棘だらけです。同じ種類とは思えませんネ。親子だと知っていないと本当にわからないですね。ただし、棘には毒などはありません。
イチモンジカメノコハムシは全国に分布し、成虫、幼虫ともくろんど園地でよく見ることができる普通種です。成虫で越冬するために4月から9月頃までと長い間見られますので、小さな虫ですが、見つけても変な虫と思わず、その奇妙なフォルムを堪能してください。ほとんど動かないのでじっくり姿、形を楽しむことができますよ。
* 正確には本文中にもでてきますムラサキシキブやヤブムラサキの葉になります。
** 名前になっているように大きな黒い斑紋が肩と腰あたりについているハムシです。南方系のハムシでサツマイモやアサガオの葉を食べるようです。温暖化の影響で最近は本州でも発見されています。
1)「街なか葉めくり虫さんぽ」 とよさき かんじ (ベレ出版)
(2024/5/3 大西)
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