葉が落ちたり、少なくなってくると枝などにぶら下がっている卵やサナギを見つけやすくなります。散歩をしているとき、道端の木の葉や草などに茶色い紡錘形の塊がぶら下がっているのを見たことがないでしょうか(写真1)。トリノフンダマシという名前のクモの卵のうです。遠目には枯れた葉っぱのようなのでわかりにくいですね。本人はどう思っているのかわかりませんが、大変失礼な名前をつけられたトリノフンダマシについて紹介します。
トリノフンダマシはクモ目コガネグモ科のクモで、名前の通り、葉っぱについた鳥の糞に似た形態をしています。英語名もそのままBird-dropping Spiderです。写真2はくろんど園地で見ることができるオオトリノフンダマシの卵のうとその傍で守っている親(メス)クモです。成虫は淡黄色で目玉のような模様が二つついています(写真3)。白っぽいので鳥の糞のようでもあり、目玉模様がカマキリの目玉のようでもありますネ。私はこれまでメスしか見つけられていないのですが、メスの大きさは約10mmに対して、オスは約2mmと極端に小さいため、オスを見つけることがとても困難です(老眼にはつらい大きさです(笑))。
トリノフンダマシは夜行性のため昼間は写真のように葉の裏でじっとしていますのでじっくり観察してみてください。夜行性ということは、エサを捕まえるための糞への擬態というよりは、鳥などに食べられないようにするための擬態でしょうか。オオトリノフンダマシはクモの糸で獲物を捕まえるため、巣を作るのですが、葉の裏に作れるくらいの小さなクモの巣で、そのため小さなガなどを捕まえて食べているようです。
オオトリノフンダマシは本州、四国、九州などに生息する南方系のクモのようです。くろんど園地では7月末頃から見られます。卵のうを目印に近くの葉の裏を探すとメスは簡単に見つけることができますので、皆さんもそのユーモラスな体型を見て自然の不思議さに触れてみてください。三つ指をついているようでかわいいですね。一度聞くと忘れられない名前だと思いますが、トリノフンダマシの名前を覚えておいてあげてください。
(2024/11/8 大西)
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