近くの公園で木の周りに落ちているサクラ(ソメイヨシノ)の花を拾って(写真1)、催し用の押し花を試しに作っています。ちょうど、くろんど園地に行く機会があったので、ヤマザクラの花を拾って押し花にしてみようと考えました。
園地に向かう途中の道にはヤマザクラが咲き(写真2)、管理事務所や、すいれん池休憩所のサクラも満開です。ところが、期待に反して、サクラの花が全く落ちていません。サクラの花びらは風に舞って道端に落ちているのですが。
翌日、再び近くの公園に出かけてみると、サクラの花が木からひらひらと落ちてきました。”チュンチュン”と鳥の鳴き声も聴こえてきます。そう、サクラの花を落としていたのはスズメのしわざでした(写真3)。
そういえば、くろんど園地でスズメを見た記憶がありません。スズメは街中や郊外の田んぼでよく見かけますが、森の中では見かけません(参考文献1:森で暮らすニューナイスズメ)。なので、くろんど園地にはサクラの花が落ちていなかったのですね。
スズメはくちばしで花の付け根のあたりを切って、蜜を吸ってから、花を落とします(写真3)。落ちている花を見ると、付け根のあたりできれいに切られていて、蜜のようなものが光っています(写真4)。
しばらくすると、”ヒヨドリがやってきました。ヒヨドリはサクラの花に頭を突っ込んで蜜を吸っていて、くちばしのまわりはサクラの花粉で黄色くなっています(写真5)。
ヒヨドリのくちばしは長くて、サクラの花の奥にある蜜を吸えますが、スズメのくちばしは、短くて太いので、サクラの蜜をうまく吸えません。代わりに、花の付け根をくちばしで切って、中から出てきた蜜を吸うようになったのでしょう。サクラにとっては、花粉を運んでもらうために作っている蜜を、スズメに盗まれているわけですね。
ただ、スズメはずっとサクラの花を切りつづけているわけではなく、サクラの木を見ても、切り取られた所は、一部分です(写真6)。ある調査でも(参考文献2)、スズメがサクラの花に大きな被害を及ぼしてはいないと報告されています。私も安心してサクラの花の押し花を試させてもらいます。
今回、ひょんなことからの気づきで、いつもとは逆に、街中で見られるけど、府民の森では見られないものを紹介させてもらいました。
<ます 2022/04/7>
【参考文献】
(1)森で暮らすニューナイスズメ
スズメと同じ仲間のニューナイスズメは、森で暮らしますが、くろんど園地の探鳥会で見られた記録はほとんどありません。スズメと比べると、頭の色が赤みがかった茶色で、頬に黒い斑点がありません。(写真:参考1)
(2)三上修・三上かつら、スズメの盗蜜によるサクラへの害を定量化する方法、Bird Research Vol. 6, pp. T11-T21, 2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/6/0/6_0_T11/_article/-char/ja/
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