夏といえば朝からやかましく鳴くセミを思い浮かべます。くろんど園地でも多くのセミを見ることができますが、私が子供の頃によく捕まえたセミということで、今回はアブラゼミを紹介します(写真1)。口を開けて、上を見ながら虫取り網を構えていると、セミに気づかれて、飛び立つときにおしっこをかけられた経験がないでしょうか。子供のときのアルアルですね。
カメムシ目セミ科の昆虫で、不透明な褐色の翅をしているのですぐに見分けることができます。アブラゼミは身近にいるので皆さんは特別なセミとは感じないかもしれませんが、世界中を含め、他のほとんどのセミの翅は透明なので、不透明な翅を持つセミはとても珍しいということになります。私の子供のころはどこにでもいる普通のセミでしたが、最近では街中はクマゼミが優勢で、アブラゼミが少なくなっているように思います。地球温暖化の影響でしょうか。
セミの頭部の真ん中に赤い点が三つあるのがわかるでしょうか(写真2)。単眼と呼ばれる目です。両端の目は複眼で、セミは合計5つの目を持っていることになります。単眼は光の強弱を感じることしかできませんが、鳴く時間帯をこの単眼で判断しているようです。
私も最近知ったのですが、アブラゼミの卵がふ化するのは1年後*の夏だそうです。1年間も卵のままというのはなんとも時間のかかる話ですね。セミの幼虫は地中にもぐって、木の根の養分を吸って成長します。幼虫状態で4-6年は地中で生活しているので、親が2週間くらいの短命でもセミの生涯としては長生きなのですね。
くろんど園地園地ではアブラゼミは7月から9月頃まで見ることができます。木肌と同じような色なので見つけにくいですが、鳴き声(ジ~ジ~)を聞いて見つけてみてください。これからもセミが鳴き続けられるように自然を大事にしたいですね。
*佐藤 信治、「ぼくの庭にきた虫たち 3 セミ観察記」 農山漁村文化協会 (2009)
(2025/6/7 大西)