No.152 ツチイナゴ

 くろんど園地の草むらでトノサマッバタに似たバッタ(写真1)を見ることができます。ツチイナゴです。体が褐色で、目の下に涙のような黒い線があるのが特徴です。今回は普通のバッタとは異なる生態をしているツチイナゴを紹介します。

ツチイナゴ
写真1 ツチイナゴ

 バッタ目バッタ科の昆虫で、トノサマバッタに体形が似ているので注意して見ないと間違えそうですね。ツチイナゴの生態が変わっているというのは、イネ科の細長い葉を食べるのではなく、広い葉の植物(マメ科など)を食べていることや成虫で越冬することです。越冬といっても冬眠しているわけではなく、暖かい場所で冬をやり過ごしているといった状態のようです。したがって、寒さには弱い昆虫といえます。春に卵を産み、夏ごろにふ化して成長し、成虫で越冬するため、卵で越冬するショウリョウバッタなど普通のバッタとは半年ずれて生活しているようなバッタです。成虫で冬越しするのは本州にいるバッタ科の仲間ではこのツチイナゴだけです。

ツチイナゴ(幼虫)
写真2 ツチイナゴ(幼虫)

 幼虫(写真2)は鮮やかな緑色で、緑の葉の保護色になっています。親は秋から冬にかけて現れるので枯れ葉が保護色で褐色なのですね。子供と親で体の色が完全に変わってしまうのは不思議ですね。幼虫の体色は変わってしまいますが目の下の黒い線は幼虫にもあるので、これがツチイナゴのトレードマークですね。

 

 ツチイナゴは関東以南で見られる南方系のバッタで、くろんど園地でも4/5月頃(冬越しした成虫)と夏以降(その年の卵からかえった成虫)の2回見ることができます。涙を流したような顔のツチイナゴを見たらその変わった生活ぶりを思い出してください。くろんど園地には他にもトノサマバッタに似たバッタ(イナゴ)がいますので注意してください。別途コラムで紹介する予定です。

 

おまけ:写真3は交尾中のツチイナゴで、上になっている小さい方がオスです

(2025/8/3 大西)

交尾中のツチイナゴ
写真3 交尾中のツチイナゴ
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