No.155 セミヤドリガ

  以前のコラムでヒグラシに寄生したセミヤドリガに触れたので、今回は非常に特異な生態をしているこのセミヤドリガについて紹介します。

ヒグラシに寄生したセミヤドリガの幼虫(セミのお腹の白いもの)
写真1 ヒグラシに寄生したセミヤドリガの幼虫(セミのお腹の白いもの)

 チョウ目セミヤドリガ科の昆虫で、名前の通りセミ(主にヒグラシ)のお腹に寄生する大変珍しい蛾(ガ)です。写真1のヒグラシのお腹に付いている白い物体がセミヤドリガの幼虫です。寄生するというと宿主(寄生された昆虫)を食べて、映画のエイリアンのようにお腹から飛び出してくるイメージがありますが、セミヤドリガは宿主(セミ)の体液を分けてもらうだけで、宿主を殺すことはありません。

セミから離れたセミヤドリガの幼虫
写真2 セミから離れたセミヤドリガの幼虫

 白い綿毛の幼虫はよく目立ちますが、最終齢*の幼虫です。それまでの若い幼虫は赤褐色でセミの色と似ているため寄生されていることがわかりにくいです。また、最終齢の幼虫は自分でセミから離れて、落ちたところでさなぎになります。ちょうどセミから離れた幼虫が糸でぶら下がった状態のものをみつけました(写真2)。

 寄生されたセミからすれば余計なものを付けているので、動きが鈍くなり、他の外敵に捕まりやすいとも言えます。以前紹介したカマキリに捕まったヒグラシも動きにくくて捕まったのかもしれませんね。カマキリに襲われたときのセミヤドリガもセミと一緒にカマキリに食べられてしまったのでしょうか。自分でセミから離れることができるのでうまく逃げられたかもしれませんね。

 

 卵からかえった幼虫がセミの成虫に出会うのも偶然ですし、寄生したセミが生きていられる(成虫のセミの寿命が短い)のも偶然なので、セミヤドリガは運任せの人生(虫生?)を送っているのだと関心させられます。くろんど園地では多くのセミが生息しているので、セミヤドリガも生きていけるのですね。セミに寄生した幼虫はよく見るのですが、成虫の方は見たことがないので下記にURL1)を示します。成虫は1cmくらいの小さな地味なガで、ヒグラシの生息している薄暗い林の中にいるのでわかりにくいですね。

 

 セミヤドリガは新潟県以南で見られ、くろんど園地でもヒグラシが現れるころに見ることができます。セミヤドリガを見つけたときはその壮絶な虫生を思い出して自然の不思議さを感じてください。

 

* さなぎになる前の最後の幼虫のこと

1) セミヤドリガ

(2025/11/7 大西)

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