前回に引き続き、虫たちの弱肉強食の世界をのぞいてみたいと思います。私がくろんど園地で見た、食うものと食われるものの実態です。今回はトンボやサシガメ、ハチ、アブ、ハンミョウ編になります。食べ方にも注目してください。

まずは空の王者、トンボの食事風景です。大きな口で捕まえた虫をかじって食べます。写真1はシオカラトンボ(未成熟なオス*)がアオバハゴロモを食べているところです。大きな口でムシャムシャと食べている様子がよくわかります。

写真2はカワトンボが小さなクモと思われるものにかぶりついているところです。このカワトンボはメスのようでお腹の下に産卵管が見えています。

2番手はサシガメの仲間です。カメムシの仲間なので食事は口吻(コウフン)で刺して、消化液を注入し、溶けたものを吸っています。写真3ではキマワリと思われる甲虫にヨコヅナサシガメの幼虫が群がっているところです。ヨコヅナサシガメは公園のサクラの木などで見ることもあると思いますが、刺されると痛いので注意してください。甲虫は名前のように硬い皮膚で覆われているので、刺しているのは首などのすきまのところですね。ヨコヅナサシガメは脱皮直後は赤い色をしているので、赤い色の見えている個体は脱皮してからあまり時間が経っていないと思われます。

3番手はムシヒキアブの仲間です。口吻で刺して捕まえた虫の体液を吸う食事方法です。何だか痛そうですね。でも安心してください。ムシヒキアブの仲間は人を襲うことはありません。写真4はシオヤアブが甲虫の仲間と思われるものに吸いついているところです。
写真5はマガリケムシヒキがハエを捕まえているところです。写真6はオオイシアブがテントウムシに吸いついています。オオイシアブは毛むくじゃらでいかつい姿ですね。
ムシヒキアブは種によって食べ物の好みが異なるようです**。シオヤアブはコガネムシ類、マガリケムシヒキはハエ類などを好むようです。イシアブについての記述はないのですが、今回の観察からは甲虫類を襲うようです。これからも観察を続けて検証したいと思います。
次はハチの仲間です。ハチの狩りは自分で食べるためというより子供たちのエサにするために他の虫を狩ります。写真7はベッコウクモバチ***がクモを捕らえて巣に運ぼうとしているところです。クモは麻酔をかけられているだけでまだ生きています。皆さんもよく知っているように、このあとクモを巣穴に運んで卵を産み、クモは子供たちのエサになります。自分の体よりも大きなクモなのでお母さんバチは大変ですね。
写真8はキボシアシナガバチです。捕まえたイモムシを肉団子にしているところです。このあと巣に運んでこちらも幼虫のエサにします。

最後にハンミョウの食事風景です(写真9)。顔よりも大きな牙(きば)をもつハンミョウはいかにも狂暴そうですが、牙があまりにも大きいので邪魔にならないのか心配するのは私だけでしょうか。何を食べているところかはわからないのですが、茶色の細い脚が落ちているので、脚はきらいなようです(笑)。食事中は逃げるのを忘れるのかかなり近寄って撮影することができました。それにしてもハンミョウは色彩豊かで本当にきれいですね。
今回はこの辺で終わりにさせていただきます。次回は昆虫以外の動物による昆虫狩りの様子を紹介したいと思います。乞うご期待!。ところで、皆さんは「食物連鎖」ということばをご存じでしょうか。植物(生産者)は光合成を行って成長し、その植物を食べる草食動物(消費者)がいて、さらにその草食動物を食べる肉食動物(二次消費者)がいるというように鎖状に生物がつながっている状態を表しています。さらにはそれら植物や動物を分解するカビ、キノコなどの菌類もいます。でも実際の関係は鎖状ではなく、もっと複雑なので、最近は「食物網」という表現になってきているようです。確かに雑食の動物もいますから網のようにつながるのですね。複雑な網ほど(生物多様性が豊かなほど)環境変化への耐性が強いようなので、くろんど園地という狭い世界ですが、生物多様性の維持に努めていきたいと思います。興味ある方は日本パークレンジャーの門を叩いてください。
* トンボのオスの見分け方に胸の下のでっぱりがあります。副生殖器というトンボのオスのみが持つ器官です。交尾のときにメスの腹部先端がつながるところになります
**「日本動物大百科9」日高敏隆監修、平凡社(1997)
*** 昔はベッコウバチと呼んでいたのですが、科名がベッコウバチ科からクモバチ科に改称されたため種名もベッコウクモバチに改称したようです
(2025/12/3 大西)