No.161 冬越しのフクラスズメ

写真1
写真1

 3月の終わり、ちはや園地で春まつりの準備をしてたら、Mさんが倉庫に大きな蛾の死体を見つけて、机の上に持ってきた(写真1)。「なんて言う名前? 越冬してたの?」。ぽっちゃり体形でモフモフの胸と腹、美しい下翅の模様には見覚え(写真3)があり、以前も倉庫にいた記憶があるものの、名前が出てこない。

写真2
写真2

 家に帰って調べてみると”フクラスズメ”、すずめが羽毛を立てて冬の寒さに耐える”ふくらすずめ”の様子にちなんで名づけられた。夏と秋に年2回発生し、秋生まれは成虫で越冬する(*1)(*3)。派手な色目の幼虫(写真2)は刺激を受けると、頭部を持ち上げ激しく震わせて威嚇する。Yさんがほしだ園地で、カラムシの葉を食べる幼虫を枯枝でつっついて説明してたことを思い出した。

写真3
写真3

 冬のちはや園地は、つららが垂れ下がり、気温が氷点下になる日が多い。フクラスズメが、モフモフの体(写真3)と、細胞の凍結を防ぐ体液(*2)を持っていたとしても、極寒に耐えるのは容易ではないはず。倉庫がある休憩所のログハウスにはストーブが焚かれて暖かく、フクラスズメには格好の避寒場所。

 この日は「ちはや園地に春を探しに行く」自主研修、春光に誘われてカタクリが咲き始めてた。なんとか寒い冬を越したものの、春を迎えられなかったフクラスズメが不憫でならないが、これもまた、生きものたちの春。

(ます 2026/3/29)

【より深く知りたい方へ】 

 

*1 フクラスズメの解説 

例えば、島根県中山間地域研究センターのコラム

https://www.pref.shimane.lg.jp/life/region/kikan/chusankan/column/20240202.html

 

*2  昆虫の越冬について

フクラスズメの越冬についての記載はありませんが、昆虫全般の冬越しや、フクラスズメが属するヤガ科の冬越しについて、下記の参考文献に記載があります。

・昆虫の冬越し,倉吉博物館 打吹山ウォッチングガイド(No.132)

https://www.city.kurayoshi.lg.jp/secure/5918/wg132.pdf

・冬に活動する昆虫、冬ヤガ, 一色出版のメルマガ

https://www.isshikipub.co.jp/?mailpoet_router&endpoint=view_in_browser&action=view&data=WzkyLCJhNTM1MTJjNjc5MjYiLDAsMCw3MCwxXQ

写真4
写真4

*3  成虫で越冬する蝶

 大阪の里山では、ウラギンシジミ(写真4)、ムラサキシジミ、ルリタテハのような蝶が成虫で越冬しています。特に、ウラギンシジミは翅の裏が真っ白で、翅を閉じてじっとしている冬場は目に付きやすく、府民の森を散策していると出会うかもしれません。春先の暖かい日には、日向ぼっこする姿を見かけるかもしれませんよ。

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