No.157 アリとアブラムシ

 皆さんはどこかでアリとアブラムシの関係を聞いたことがないでしょうか。アリはアブラムシから甘い汁(甘露)を得る代わりに、アブラムシを食べるテントウムシなどからアブラムシを守る行動をします。まるでアリがアブラムシの牧場を経営しているみたいですね。そのためアブラムシのことを別名”アリマキ(蟻牧)”とも呼びます。今回はくろんど園地でみたアブラムシ牧場の様子を紹介したいと思います。


 アリとアブラムシの関係を”共生”といい、アリもアブラムシも共に利益を受けている(win-winの関係)ので、特に相利共生といいます1)。もちろんお互いに助けあおうという約束があるわけではなく、アブラムシは過剰な糖分を体外に排出しないと生きていけないために甘露を出しているだけで、アリも大家族を養うためのエサが必要で、エサが足りなくなるのを防止するためにアブラムシの外敵を排除しているだけです。結果的にお互いが利益を得ているような恰好になっています。アリもアブラムシを食べていなくなるよりは甘露をもらう方が得だったので進化の過程で共存関係が構築されたものと思います。


 アリの巣の中にはちゃっかり居候して巣の中の食べ物や卵を食べるような昆虫(好蟻性昆虫)もいます。そのような関係を片利共生と呼びます。アリは社会性を持ち、攻撃的な昆虫なので、うまく(アリに排除されずに)巣の中に入り込めると、敵に襲われることもなく、安心・安全に生活できる環境を手に入れたことになります。生物の進化はとても不思議ですね。シジミチョウやコオロギ、アブなどの仲間に居候する種類がいるようですが、下記に参考書籍を示しておきます2)


 最後にアブラムシのことを簡単に紹介しておきます。カメムシ目アブラムシ科に属する昆虫です。カメムシの仲間ということで推測できると思いますが、針状の口で植物の養分を吸っています。また、すぐに大集団になることでわかると思いますが、メスが単独で子供を産む単為生殖で増えていきます(クローンですね)。さらに、体内にいる子供にはすでに次の子供(孫)が成長し始めているので爆発的に増えることができるのですね。オスは秋に現れて交尾することでアブラムシは卵で越冬します。すべてのアブラムシがアリと共生するわけではなく、兵隊アブラムシが存在し真社会性をもつ種類もいますので、自然は奥が深いですね。興味のある方は調べてみてください。

 

1) https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005300801_00000&p=box

2) 「昆虫はすごい」、丸山宗利著、光文社新書(2014)

注) 本コラムではアリ、アブラムシとも小さくて種類を同定することが困難なため、写真の説明は割愛させていただきました

 

【補足】アリは昆虫だけではなく、植物とも共生しています。カタクリなどはタネにアリの好きなエライオソームを付けてタネを運んでもらい生息域を広げます。下記のコラムを参考にしてください。

No.21 カタクリとアリ

 

(2026/1/6 大西)

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