くろんど園地の薄暗い林道内で翅(はね)に目玉模様のある5cmくらいの茶色いチョウをよく見かけます。クロヒカゲです(写真1)。今回は地味で、暗いところが好きなガのようなチョウを紹介します。

チョウ目タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウで、翅の裏側に蛇の目(目玉)模様が付いているのが特徴です。ふつうは翅を閉じてとまっているので、見えているのは翅の裏側になります。写真2は偶然撮れた表側ですが、茶色一色なので本当に地味です。
ところでジャノメチョウの仲間は翅に目玉模様がありますが、この模様に何か意味があるのでしょうか。よく言われているのが天敵の鳥を驚かせたり、間違えて目玉模様の方をつつかせてその間に逃げたりするためだということです1)。暗いところほど目玉模様の効果(驚かせる効果)が高いということでジャノメチョウの仲間は暗いところに住むように進化したようです。弱い虫が生き残るための戦略なのですね。

成虫は樹液に集まるようですが、私が確認できたのは吸水しているところ(写真3)だけなので、樹液のでているところでも探したいと思います。
幼虫はササ類の葉をえさにしています。幼虫はまだ見つけられていないので参考のURLを示しておきます2)。見てもらうとわかりますが頭の突起がネコの耳のようでかわいらしいです。
クロヒカゲは北海道から九州で見られ、くろんど園地でも5月頃と9月頃の2回見ることができます。逃げてもすぐに近くの葉にとまるので、地味なチョウですが翅の目玉模様を見たらクロヒカゲの名前を思い出してください。虫によって好きな環境が異なるので、今の環境を維持していくことが生物多様性を維持していくことにつながると考えています。くろんど園地では姿が似ているヒカゲチョウも見られます。クロヒカゲよりは明るい場所を好みますが、見分け方などは別の機会に紹介したいと思います。
1) 「虫は人の鏡 擬態の解剖学」 養老孟司著、毎日新聞出版(2020)
2) クロヒカゲの幼虫
(2026/3/4 大西)